映日紅(いちじく)の花
作詞/椎名林檎 作曲・編曲/浮雲

「もしもし そろそろ逢ひ(あい)たいな」
 庭には 花菱草(はなびしそう)
 何時何時(いついつ) 出やる 後ろの正面
 振り返つて(かえって) 振り返つて ()の子は()だだよと

「もしもし お変は(かわ)り無いですか」
 庭には夏が来()
 何時何時(いついつ) 出やる 後ろの正面
 待ち望()で 待ち望()()の子に()()いかいと

  鳥渡(ちょっと)仰いで
  戸惑ひ(とまどい)は太陽を隠す雲
  追いて行かないで(かないで)
  空は金と朱色 互ひ違ひ(たがいちがい)

実の無い花は 枯れても永遠に()でらるる無実の罪

(つぼみ)成つて(なって)魅せてくれ
さあ
今日と明日(あす)を結べ

  急度(きっと)祈つて(いのって)
  恥ぢらひ(はじらい)が陶酔に負ける風
  付いて来ないで
  我は綿の混紡 互ひ違ひ(たがいちがい)

花の咲かない実は ()ち永遠に忘れらるる無骨な罰

貳ツ(ふたつ)割つて(わって)召し上がれ
さあ
今日も明日(あす)
御覧

実の無い花が 枯れゆき永遠の名を貰ふ(もらう)
膨む(ふくらん)でゆく(ころも)纏ひ(まとい)()の子は誰?
妙に甘く鮮やかな実
嗚呼(ああ)
哀しみ携へ(たずさえ)し子よ 眠れ

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